ダウンズタウンとは
およそ20年間に渡り、ダウン症を持つ人達の絵画制作の現場を見て来た中で、彼らが共有する優れた資質、豊かな心、特に自然と調和する感性を一つの文化として捉えられるべきだと確信しました。
ダウンズタウンプロジェクトは、この調和と平和の文化を社会と繋ぐべく、様々な試みを共感してくださる方々と共に進めていきます。
ダウン症を持つ人達が生きやすい環境をつくり、その場所を訪れた人達にとって沢山のインスピレーションと安らぎのある「村」のような場を目指しています。
ダウン症の人たちと暮らしたら楽しいだろうなぁといつの頃からか思うようになった。
とにかく一緒にいると心地がいい。
風をつかまえたり、花や雲と話せる彼らといると人間も自然の一部だったということを強烈に思い出す。
こんな素敵な人達と、自然の中で絵を描いたり、畑を作ったり、
お料理を作ったり、のんびりと生きていけたらどんなにいいだろう。
ダウン症の人たちが中心となっている場「ダウンズタウン」。
そこには彼らのアトリエや彼ら自身のデザインした住居が点在しながら中心にはダウンミュージアムがあり、作品が常設されている。
カフェやレストランではダウン症のウェイターやウェイトレスがいて
ちょっと立ち寄ったサラリーマンやOLをゆっくりと癒してくれる。
敷地内にはお年寄りもいるといい。
畑仕事や料理を教わりながら、お互いに成長していく。
バリバリと働ける人達には、ダウンデザインの建物、家具、洋服、
などなどを形にしてほしい。というような夢を10年以上思っていた。
彼らの存在、文化、そこから生まれてくる作品の魅力、そして彼らから感じる未来のヴィジョンを
もっと広く発信すべきだと思っている。「ダウン文化」は、きっと多くの人にとって
何かしらの心地よいヒントを与えることとなるだろう。
世界中から集まったダウン症の人たちと様々な人達が混ざり合ってダウンズタウンから
新しい調和の文化が生まれることを願って。
佐藤よし子
ダウンズタウンプロジェクトでは、ダウン症のある方々の作品や感性を社会に発信する、様々な取組みを行なっております。
主に ワークショップ、作品リース、公共の場への作品設置、講演会、トークイベント他
ご依頼はこちらまでお願い致します。
制作現場からみた無垢の感性
ダウン症の人たちに共通してある感性、それは「調和」。アトリエ・エレマン・プレザンはそこに未来のヴィションを見出してきました。
そしてそれらは決してダウン症の人たちだけのものではなく、本来私たち人間に備わっているはずの感覚や知性、ちと言ってもいいと思います。
ダウン症の人たちは「受容」することによって柔らかな世界を保っています。彼らの流れに身を委ねてみると、すぐそばには美しく豊かな世界が広がっていたことに気付かされます。
この自然との一体感にも似た心地よさは、アール・イマキュレ作品群からも共通して感じることができます。
そこには調和的かつ鋭い色彩と共に、「生命のリズム」とも呼ぶべき感覚があります。私たちはこの無垢なる感性「アール・イマキュレ」から、平和的な可能性を切り開く場として「ダウンズタウン」へ繋げていこうとしています。
シンポジウム「アール・イマキュレ ダウン症の感性に学ぶ」より抜粋
アトリエ・エレマン・プレザン
アトリエ・エレマン・プレザンは、ダウン症の人たちの創作のためのプライベートアトリエとして、1991年から活動をはじめました。その前身は画家・佐藤武雄のアトリエ「世田谷版画工房」(1969〜1989年)です。ここでの表現技術の蓄積と芸術に対する考え方が、ダウン症の人々の感性と出会ったことにより、彼らの絵画、彫塑、版画などの政策をサポートする場としての活動がスタートしました。
「エレマン・プレザン」とは、「現在の要素」という意味です。現在というこの時代、この場所において重要な構成要素でありたい、という理想から名づけられました。